カンマの女王
「ニューヨーカー」校正係のここだけの話
メアリ・ノリス 著
有好宏文 訳
竹田純 編集
2021年、柏書房
誤字・脱字や言葉の誤用を正す「校正」。ベテラン校正者の眼を通じて見るそれは、規則と心情とのあいだで揺れ動く、意外なほど人間らしい仕事だった!
アメリカの老舗雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ著者が、その半生と、校正の現場で遭遇したミスや「揺れ」を振り返る──。“between You and I”のようなネイティブでも間違える文法や語法、ディケンズ、メルヴィル、ディキンソンら著名作家たちが操る記号──カンマやダッシュ、コロン──の独特な使い方、クセが強い校正者たちのエピソード、トランスジェンダーのきょうだいを呼ぶときの代名詞etc…。「正しい英文法」だけでは白黒つけられない、迷いと葛藤の日々を描く唯一無二の校正エッセイ! (出版社紹介文より)
著者TEDトーク
校正という、人間の仕事──訳者あとがき
Reviews
鉛筆と紙の辞書を愛し、校正が「出すぎた真似」といわれるのをおそれている“女王”、他人とは思えない。
牟田都子(校正者)
本書帯の推薦文
正しい英語とは何だろう? カンマの思想とは? 鬼校正者はどこを見る? 今、英語の「揺らぎ」があなたを魅了する。
阿部公彦(英米文学者)
本書帯の推薦文
「神は細部に宿る」という言い回しがあるが、ときにダッシュの長さや読点の位置で論争をする校正者たちは、まさに言葉の神を戴く司祭だ。
水原涼(小説家)
「水原涼の循環呼吸(1)言葉の司祭」
2021年1月10日大阪日日新聞より
カンマ、ハイフン、感嘆符など句読記号の位置ひとつに目を光らせ、悩む。「カンマの女王」の存在感は、誰もが瞬時に言葉を発信できる今こそ大きい。
日本経済新聞
2021年2月13日掲載の書評より
→WEBで読む(有料)
同誌の校正者たちは、ただ単に規範を守るのではなく(それならロボットでもできる)、ひとまず規範に照らした上で、言葉の奥にある書き手の意図やニュアンスにまで思いを致して判断する。(・・・)英語好きのみならず、人間好き(?)にもお薦めの一冊。
栩木玲子(法政大教授)
山形新聞
2021年2月14日掲載の書評より
いやあ、勘弁してよ、と言いたくなるほど、細かい、うるさい、た、た、た、た、たまらない。愚痴をこぼすような口調ではなく文章表現法に厳格にこだわりながら淡々と、かつ調査しながらチェックしていくその姿が、すごすぎる。(・・・)英語好きには必読の書
青山南(翻訳家・エッセイスト)
本の雑誌 2021年3月号
「南の話277 チェック、チェック、チェック」より
著者は「正しい表現」を重んじてはいます。でも、本書で主に追求されているのは、むしろ、論理的なカンマの打ち方、合理的なハイフンの入れ方など、カッコいい文章にする方法です。(・・・)プロの執筆者の髪をとかし、襟を直して、最高の形に整えてあげる。校正者はそんな信頼できるスタイリストなのでしょう。
飯間浩明(国語辞典編纂者)
読売新聞
2021年4月18日掲載の書評より
→WEBで読む
ベテラン校正者が実例をあげながらつづるエッセーは、「へえ〜」の連続だ。カンマやセミコロンひとつで文章の意味や品位が、こんなに変わるなんて! 文法ミスから、書き手の意図や性格まで読み解けるなんて!
細貝さやか
éclat
2021年4月号より
原書情報
Between You & Me
:Confessions of a Comma Queen
Mary Norris
2015, W. W. Norton & Company
“Hilarious…This book charmed my socks off.” —Patricia O’Conner, New York Times Book Review
Mary Norris has spent more than three decades working in The New Yorker’s renowned copy department, helping to maintain its celebrated high standards. In Between You & Me, she brings her vast experience with grammar and usage, her good cheer and irreverence, and her finely sharpened pencils to help the rest of us in a boisterous language book as full of life as it is of practical advice.
Named a Best Book of the Year by NPR, Amazon, Wall Street Journal, Publishers Weekly, Kirkus, and Library Journal.